「今日、誰とも話していないな」
そんな日が、当たり前になっていませんか?
夫は優しくて、子育てに協力しようとしてくれる人。でも、朝から晩まで仕事で忙しく、実際は私ひとりで家事も育児もこなす毎日。いわゆる“ワンオペ育児”です。
さらに、息子は発達グレーゾーン。人見知りや場所見知りがとても強く、新しい場所へ行くたびに泣き叫びます。保育所の親子教室でも、公園でも、いつも「帰りたい」と涙を流す息子を抱きしめながら、私は「また迷惑をかけてしまった」と肩を落としました。
誰にも頼れず、誰にもわかってもらえない。
そんな孤独感に押しつぶされそうだった私が、どうやってストレスと向き合い、心を救われていったのか。この記事では、その体験をリアルに綴ります。
ワンオペ育児とは?私が感じていた孤独

「ワンオペ育児」とは、主に母親もしくは父親がひとりで家事や育児を担っている状態のことです。
パートナーが仕事で多忙だったり、シングルでの子育てであったりと、状況はご家庭によってさまざまです。
厚生労働省の報告書では、特に母親に家事・育児の負担が集中するケースが多く、これが女性の就業継続を難しくする一因となっていると指摘されています。
ワンオペ育児は個人の問題にとどまらず、社会全体の働き方にも影響を及ぼしているようです。
また、男性の育児参加を促進することが、子育てしやすい環境づくりや持続可能な社会に向けた重要な取り組みと位置づけられています。
私も「ワンオペ育児」に悩む一人でした。
息子は1歳半検診で発達の遅れを指摘された「発達グレーゾーン」の子どもです。言葉の遅れから癇癪があり、人見知りや場所見知りも酷く手がかかるので、人手不足の幼稚園や保育所に預けづらい現状もありました。
※参考資料https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11903000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Shokugyoukateiryouritsuka/0000093556_1.pdf
協力的な夫がいても「ワンオペ育児」に
私の夫は育児に協力的です。
しかし、週に6日の出勤で早朝から夜遅くまで仕事をしており、手伝ってもらうことは現実的に難しく、月曜日から土曜日はすべての家事と育児を一人でこなしました。
それに加え、夫が遅くまで働いている姿を見ると「疲れているだろうから今は頼まない方がいいかな…」と遠慮してしまい、悩みを一人で抱え込むことが多かったのです。
夫の両親とは疎遠状態でしたし、私の両親も事情があり頼れませんでした。息子の特性に向き合いながらのワンオペ育児はストレスが大きく、次第に自分だけで抱え込むことが辛くなっていきました。
ストレスで限界に。爆発した日
息子にはお風呂で大泣きして暴れる時期がありました。
毎日イライラをぐっと堪えて対応していましたが、その日はどうしても気持ちが抑えきれませんでした。
理由もわからず、大声で泣いて暴れる息子に「もうすぐ3歳なのに、なんで喋らないの?」「なんでこんなに泣いているの?」「どうしてこんなに手がかかるの?」と不安と苛立ちが募り「そんなに嫌なら全部自分でやれ!」と怒鳴ってしまったのです。
すぐに我に返り息子に謝りましたが、ワンオペ育児ではこんな精神状況でも子どもと向き合わざるを得ません。可愛いはずの息子が憎らしくなり、いつか虐待してしまうのではないか?と自分が恐ろしくなりました。
子育てサークルと児童発達支援事業所でワンオペ育児
ワンオペ育児で限界を感じていたとき、町の広報に載っていた「子育てサークル」の案内を見つけました。最初は不安もありましたが、悩みを共有できる仲間が欲しいと思い参加を決めました。
さらに息子の定期健診の際、保健師さんから「児童発達支援事業所」の存在を教えてもらい、通い始めることになりました。私にとって、この二つの経験がワンオペ育児のストレスを解消する大きなきっかけとなりました。
ありのままを受け止めてくれた子育てサークル
息子は泣いてばかりで、最初は「迷惑をかけているんじゃないか」「泣いてばかりで活動に参加しないし、連れてきている意味があるのかな?」と心配でした。
しかし、サークルのスタッフが
「大丈夫。泣いていいの。頑張って連れてきて見守ってるお母さんも頑張ってる、えらいよ。」
と優しく声をかけてくれたのです。その言葉に、初めて頑張っていることを認めてもらえた気がして、涙が出そうになりました。
サークルでは育児の悩みを打ち明け、「大変だったね」と共感しあうことで保護者間の絆はすぐに深まりました。新たな繋がりができ、孤独感が少しずつ減っていったように思います。
結局、息子は泣かなくなるまで9か月かかりましたが卒業の頃にはスタッフに抱き付きにいくぐらい信頼関係を築けたのです。
一緒に息子の成長を見守ってくれるサークルの存在が、私にとって心の支えとなり、ワンオペ育児の孤独を乗り越えるための大きな助けになりました。
「プロに預ける安心感」と久しぶりのひとり時間
児童発達支援事業所に通い始めたことも大きな転機でした。
児童発達支援事業所では、専門のスタッフが息子の発達に合わせ具体的にどうサポートしていくべきかをアドバイスしてくれたので一人で悩まなくなりました。
また、保育所や幼稚園よりもさらに息子の特性に合わせて対応してもらえるので安心して預けられたのです。
息子と「週に一度」たった「2時間」離れるだけで心から「可愛い」と思う気持ちがよみがえりました。久しぶりに自分の時間を持つことができ、イライラしていても気持ちをリセットできたのです。
「プロに頼る」ことで得られる安心感はワンオペ育児のストレスを和らげてくれます。
ワンオペ育児を乗り越える3つのイライラ発散法
ワンオペ育児の中で、ストレスがたまりすぎるとお風呂での一件のように感情が爆発してしまうことがありました。
夫にも息子にもイライラしてしまう自分が嫌で、少しでも楽しく過ごせるように自分なりに考えて効果があった3つの方法をご紹介します。
すべて簡単に取り入れられるのでぜひ試してみてください。
イライラを笑いに変える実況中継
一度イライラすると、冷静になるのは本当に難しいです。
よく「6秒待って深呼吸しなさい」と言いますが、私にはそれができません。「なぜ6秒も我慢しなければならないのか?」と余計にイライラしてしまうのです。
そのイライラの原因は、後から考えるとほとんどが些細なことで、怒る必要がなかったことばかりです。そこで、私が取り入れたのが「自分を冷静に客観的に見る」という方法です。
具体的には、今の状況をまるで野球やサッカーの試合のように、「実況中継」するのです。脳内BGMに「天国と地獄」を流しながら、こんな感じで自分を客観視します。
「おぉっと、母の様子がおかしい!イライラし始めたようです!原因はなんでしょうか?息子がまだ遊びたいと大泣きしているようですが、もう4時間も同じ場所で遊んでいます!さぁ、母は冷静に対処できるのか?それとも怒ってしまうのか?」
こうやって自分を実況すると、だんだん面白くなってきて、イライラも軽くなります。なぜ怒りを感じるのかを言葉にし、自分を客観的に見ることで冷静さを取り戻せます。
好きな音楽でストレス発散
最近、自分が好きな音楽を聴いていますか?
私は息子が生まれてからは、刺激を避けるために無音か子ども向けの音楽ばかり。いつのまにか、私自身が「好きな音楽」を我慢していたことに気付き、お気に入りの「Mrs. GREEN APPLE」の楽曲を聴くようになりました。
ワンオペ育児で毎日ヘトヘト。ご飯を食べない、寝ない、言うことを聞いてくれない、など小さなストレスがあったときに「好きな音楽」を流して一緒に口ずさむと心がスッとするのです。
「自分の好きなことをする」
たったそれだけで、ワンオペ育児のストレスが少し楽になります。音楽の力ってすごいです。
「べき思考」をやめる
私は元幼稚園教諭ということもあり、「子どもにはこう接するべき」「家庭はこうあるべき」という「べき思考」を強く持っていました。
ある日、お風呂を嫌がって大泣きする息子を見て、「またか…疲れた」と、どうしても頑張れなくなってしまいました。そこで思いきって「今日はお風呂、やめておこう」と“風呂キャンセル”を決行したのです。
すると、「あとは寝かせるだけ」と気持ちがふっと軽くなりました。しかも、一日くらいお風呂に入らなくても、まったく問題がなかったのです。
それをきっかけに、「食器洗いは明日の朝でいいか」「今日のごはんは冷凍食品でいいや」「洗濯機は明日回そう」と、これまで自分の中にあったルールを少しずつゆるめていきました。
すると「なぜあんなに“ちゃんとすべき”にこだわっていたんだろう?」と不思議に思うほど、心が楽になりました。
今では、夫のすすめで掃除はお掃除ロボットに、食器洗いは食洗機に任せています。午前・午後と連れて行っていた公園の代わりに、YouTubeやDVDを見せてゆっくり過ごす日も。
自分の決めたルールに囚われず手を抜くことが、ワンオペ育児を続けるコツかもしれません。
まとめ:ワンオペ育児で限界だった私が今だから思うこと
発達グレーゾーンの息子が幼稚園に通い始めて
最近、息子が幼稚園に通い始めて少しだけ生活が変わりました。
集団が苦手で泣き叫んでいた息子が「いってきます」と自分から手を放して教室へ入っていきます。
その後ろ姿を見送るたびに、「あぁ、ここまでよく頑張った」と思います。
ワンオペ育児+発達グレーゾーンの自宅保育は大変でしたが、親子で密な時間を過ごし愛着関係がしっかりできたからこそ、私から離れて幼稚園へいけるのだろうと思います。
相変わらずワンオペ育児は続いていますが、息子が園で過ごしている数時間は自分の時間となり、イライラすることがグンと減りました。
離れる時間って、本当に大事だなと感じます。
母だって人間だから
社会から隔離されている不安や育児のストレスから子どもにイライラしてしまうことがたくさんあり、怒鳴ったことも、泣いたことも何度もあります。そのたびに自己嫌悪で落ち込んでいました。
「母親なんだから」「自分がしっかりしなきゃ」「イライラしてはいけない」そう思っていましたが、子育てサークルのスタッフから
「イライラしてもいい。泣いてもいい。お母さんだってひとりの人間なんだから。」
という言葉をもらい、肩の力が抜けたのを覚えています。
ほんのちょっと自分の時間を持ったり、だれかに話を聞いてもらったり、それだけで不思議と、また「よし、頑張ろう」と思えるようになります。
この文章をここまで読んでくれたあなたも、きっとワンオペ育児に悩みながら毎日頑張っているのだと思います。
少しだけ肩の力を抜いて、自分の心も大事にしてくださいね。
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